女性専用車
昼間に地下鉄丸の内線に乗ると大体座れる。新しい路線はほとんど10両編成なのに古い丸の内線は6両編成なので朝はとんでもなく混んでいる。通勤以外で利用するときは大体午後2時前後にすると混雑を避けられる。
先日も利用者がちょうど全員座れる程度の状態の車両に巡り合えた。やれやれと腰かけてふと前の席を見ると女子高校生らしい二人組みと、赤ちゃんを抱っこした女性、その隣には高齢の女性がなにか新聞のようなものを読んでいる。
そのまた隣は中年女性。うん?8人掛けのシート全部が女性だ。首を回して車両を見渡すと、その隣のシートも全部女性だし、私の両隣も女性だ。腰を浮かせてキョロキョロしながら確認すると、もしかしたら30人程度の乗客の全員が女性かもしれない。(私以外は)しかも若い女性が多い。
ああ、やってしまったのか。女性専用車に飛び乗ってしまったあわれなおじいさんなのか。いやまてよ、丸の内線には女性専用車なんてないはずだ。それに誰も咎めるような目で私を見たりはしていない。偶然にも全員が女性だけなのか。次の後楽園駅では乗降客が比較的多いので男性が乗り込んでくることを期待しながら確認しなければ。駅に到着すると7~8人の女性がすっと立って下車したが、なんと乗り込んできたのは4名の女性。なんだ。また全部女性ではないか。これは絶対におかしい。ドッキリカメラをしかけられるほどの有名人でもないし。いたずらにしてはやけに大掛かりだし。もし次の本郷三丁目で男性が一人も乗らなかったら降りた方がいい。なにか罠にはめられているに違いない。後楽園駅から本郷三丁目駅までは800メートルしかない短距離なのに、私は浮足立っていたし手に汗もかいでいた。プラットホームに電車が到着すると思わずドア近辺まで駆け寄ってしまった。女性が3人降りて、そして乗り込んできたのは2名の女性の後ろに2名の男性が・・・・。私は意味もなくこの男性2名に微笑んで挨拶してしまった。2人は怪訝な顔をしていたが、私にとっては命の恩人みたいな存在なのだ。ああ、乗ってきてくれて本当にありがとう。
後からわかったことは、この日夕方に後楽園ドームで元ジャニーズ系のコンサートが開催され、早い時間から多くの女性ファンが詰めかけたと。まったく人騒がせな事件だ。


